地域伝統芸能復興基金の成り立ち

世界の名器から生まれた基金

「地域伝統芸能復興基金(まつり応援基金)」は、公益財団法人日本音楽財団から寄付された楽器売却金によって創設されました。
日本音楽財団は、世界最高クラスの弦楽器であるストラディヴァリウスを21挺保有していましたが、その中でも保存状態がきわめてよく、高く評価されている「レディ・ブラント」を、東日本大震災の復興支援のためにオークションで売却することを決定しました。結果、オークションで扱われる楽器としては史上最高値の875万ポンド(約11億6800万円)で落札され、その全額が日本財団に寄付されました。
私たちはこの売却代金をもとにして地域伝統芸能復興基金を設立しました。

レディ・ブラント

<提供:日本音楽財団>

再び絆を強固にし、地域が力強く立ち上がるために

震災が起きた2011年の夏頃から、「祭りを再開したい」「伝統芸能の奉納をしたい」「鎮魂のための祭りをしたい」といった声が被災各地から頻繁に聞かれるようになりました。東北地方の各地では個性的な芸能が数多く継承されており、祭りは地域の人々が心を通い合わせる場として重要な役割を担ってきましたが、被災による道具類の消失によってその機会が奪われてしまいました。この状況を知った私たちは、地域の絆を再び甦らせるべく、各地域の中核的な芸能や祭りに関わる団体を支援することにしました。
最初に支援したのは、岩手県釜石市にある釜石虎舞保存連合会です。釜石では、「釜石に住んでいるから虎舞を踊っているのではなく、虎舞があるから釜石にいるのだ」という声をよく耳にしました。このまま虎舞が復活しなければ、多くの人がこの地域を離れてしまうのではないかといった危機感も伝わってきました。芸能の保存・継承だけでなく、人々が再び絆を強固にし、地域が力強く立ち上がるためには虎舞の復活が必須であることから、第1弾の支援として山車や太鼓などの購入費用の支援を決定しました。
その後も基金では、数々の祭りや伝統芸能に必要な物品の購入を支援しています。

心の故郷である神社の復活を目指して

2012年からは鎮守の森の復活に向けた支援をスタートさせました。神社の境内や参道を取り囲む鎮守の森は、災害時には防災林として避難所の役割を果たし、平常時には人々の憩いの場として地域の人々に親しまれています。しかし、津波被害にあった多くの神社で、社殿や鳥居などとともに鎮守の森も流出してしまいました。
自宅が被災したにもかかわらず、神社の再建を優先して、地域住民が少しずつお金を出しあって小さな社殿を設置した地域もありますが、神社の復興はあまり進んでいません。祭りが行われる際には住民の大半が集い、五穀豊穣の感謝や大漁祈願の奉納が行われ、人々の心のよりどころとなっていた神社ですから、森だけでもはやく復活させたいという声がたくさんありました。
そこで私たちは神社本庁などと連携して、住民の心の故郷を復活させる「鎮守の森復活プロジェクト」を始動しました。森づくりの権威・宮脇昭氏(横浜国立大学名誉教授)を植樹祭の監修者に迎え、2015年春までに約30社で植樹を行う予定です。 第1回目の植樹祭は2012年6月24日に宮城県亘理郡山元町の八重垣神社で行われ、地域住民を中心に学生ボランティアなど500人以上が参加しました。
現在では、被災した神社の再建も重点的に支援しています。最初の支援先として宮城県石巻市雄勝町の葉山神社が選ばれ、破壊され流失した本殿や拝殿、神楽収蔵庫などの建設が進められています。 こうした伝統芸能や神社への支援を通じて、被災した人々の心の復興を後押ししたいと考えています。

地域伝統芸能復興基金のコンセプト
~地域に絆を!住民に誇りと絆を!~

長い年月をかけ、故郷の暮らしのなかで、それぞれの土地の人々が磨き、受け継いできた芸能や祭りは、地域の人々の心を通いあわせてきました。
世代を超え、人々を結びつけてきた芸能や祭りは、その土地に共に生きる証として、人々の心の支えであり、復興の礎です。
日本財団は、それぞれの地域の風土から生まれ育って、暮らしや心を育んできた芸能や祭りを応援することをコンセプトに、基金を立ち上げました。

<支援の意義>

■郷土: その土地に生きる証、土地に根差した生活の中で受け継がれてきたもの、郷土への思い・誇り

■絆 : 共に生きる人々の間にある絆。世代を超えて、過去から今、そして未来へとつなぐ地域の絆

■鎮魂: 先人の魂は、永遠に次の世代へと継承されていく。生き残った者に、困難を乗り越える力を与えるのは、祖先や死者への深い哀悼と祈り

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